【番組の始まり】「ピエロと呼ばれた息子」はなぜCBCの長期ドキュメンタリーになったのか
「ピエロと呼ばれた息子」は、最初から長期シリーズとして企画された作品ではありませんでした。
取材のきっかけは、2020年3月、CBCテレビの報道記者が濵口家の存在を知ったことです。当時3歳だった賀久くんは、道化師様魚鱗癬という非常に珍しい皮膚疾患と向き合っていました。
記者が母・結衣さんのブログを読んだところ、家族は病気の外見的特徴から、周囲に誤解されたり、心ない言葉を浴びたりしていたことが分かりました。
一度限りのテレビ特集から定期配信へ
2020年6月、CBCテレビのニュース番組「チャント!」で約10分間の特集が放送されました。
放送後、大きな反響が寄せられた一方、短い放送時間では病気の特徴や家族の日常を十分に伝えきれませんでした。
そこで担当ディレクターが提案したのが、YouTubeを利用した継続取材です。
2021年4月、定期配信型ドキュメンタリーとして正式にスタートしました。
当初は週1回の配信を基本とし、撮影スタッフが訪問できない時期には、家族がカメラで撮影した映像を送るリモート取材も行われました。
この制作方法によって、病院での治療や皮膚のケアだけでなく、学校生活、家族旅行、遊び、親子の会話といった日常の細かな変化まで記録できるようになったのです。
この作品が一般的な闘病番組と異なる理由
特徴的なのは、病気の説明だけで終わらないことです。
- 皮膚の状態が変化する日常
- 家族で過ごす休日や旅行
- 学校での友人関係
- リハビリと趣味の両立
- 両親の仕事や生活への影響
- 周囲の人々の理解と誤解
こうした出来事を連続して見せることで、視聴者は賀久くんの成長とともに、病気を抱える家族の生活全体を知ることができます。
CBCの2022年の取材記事では、当時すでに公式YouTubeチャンネルで90本以上が配信され、累計再生回数が1億回を超えていたと紹介されています。これは2022年12月時点の数字であり、現在の再生回数とは区別する必要があります。
【病気の正体】道化師様魚鱗癬の症状と原因を医学的に解説
道化師様魚鱗癬(Harlequin ichthyosis)
小児慢性特定疾病情報センター掲載の医学情報に基づく解説
皮膚の角質が異常に厚くなり、皮膚本来のバリア機能が損なわれる疾患です。
1. 道化師様魚鱗癬の主な症状
魚鱗癬は、皮膚が乾燥して魚のうろこのような状態になり、角質が剥がれ落ちる疾患群です。
その中でも道化師様魚鱗癬は、特に重症な病型として知られています。
主な特徴は次のとおりです。
- 出生時からの重度の角質肥厚: 全身が厚く硬い角質に覆われる。
- 皮膚の亀裂: 乾燥や皮膚の引きつれによって深い亀裂が生じる。
- 眼瞼外反: まぶたが外側にめくれる。
- 口唇の突出: 唇が外側に引っ張られ、口が開いた状態になる。
- 耳介の変形: 耳の形にも影響が出る。
- 皮膚バリア機能の低下: 水分やタンパク質が失われやすく、感染症のリスクが高まる。
さらに、体温調節が難しくなったり、脱水を起こしやすくなったりすることもあります。
2. 原因はABCA12遺伝子の変異
道化師様魚鱗癬の原因として知られているのが、ABCA12遺伝子の変異です。
この遺伝子は、皮膚のバリア機能を維持するために必要な脂質の輸送に関係しています。
正常な皮膚では、表皮細胞の間に脂質が適切に分布することで、水分の蒸発を防ぎ、外部からの刺激や病原体の侵入を抑えています。
しかし、ABCA12遺伝子に変異があると、この脂質輸送が正常に働かなくなります。
その結果、皮膚のバリア機能が損なわれ、角質の異常な肥厚や皮膚の亀裂につながります。
遺伝形式は常染色体潜性(劣性)遺伝です。正確な患者数の統計はありませんが、発症頻度は約30万人に1人とされています。
3. 人にうつる病気ではない
ここは非常に大切なポイントです。
道化師様魚鱗癬は遺伝子の変異によって生じる先天性疾患であり、感染症ではありません。
握手や接触、同じ空間で生活することによって他人にうつる病気ではありません。
CBCの第81話でも、公園で賀久くんが病気を誤解した子どもから「うつるから寄らんといてよ」と言われた経験が取り上げられています。
見た目だけで感染症と判断することは、本人や家族を深く傷つける結果につながります。
4. 道化師様魚鱗癬の治療と日常のケア
現在の治療は、皮膚の状態を管理し、合併症を防ぎながら生活の質を維持する対症療法が中心です。
| 治療・ケア | 主な目的 |
|---|---|
| 保湿剤・ワセリン | 皮膚の乾燥や亀裂への対応 |
| レチノイド | 角質の異常な増殖を抑える治療 |
| 感染症の管理 | 細菌・真菌・ウイルス感染への対応 |
| 水分・栄養管理 | 脱水や栄養不足の予防 |
| 体温管理 | 体温調節の異常への対応 |
| リハビリテーション | 関節の動きや日常動作の維持 |
新生児期には、輸液、呼吸管理、体温管理、皮膚感染症の治療などが重要になります。
成長後も皮膚の保湿や感染予防を続ける必要があり、手足の角質肥厚や関節の動きに問題がある場合には、リハビリテーションなども検討されます。
レチノイドは有効性が期待される一方、副作用への注意が必要な薬剤です。使用の判断や量の調整は専門医が行います。
【人物・関係図と年表】濵口賀久くん、濵口結衣さん、CBCテレビの関係
「ピエロと呼ばれた息子」を理解するには、家族の発信とCBCテレビの取材がどのようにつながったのかを知ることが重要です。
主な人物・作品の関係
| 人物・名称 | 役割・関係 |
|---|---|
| 濵口賀久くん | 道化師様魚鱗癬と向き合う主人公。2026年の配信では9歳 |
| 濵口結衣さん | 賀久くんの母。ブログや書籍を通して病気について発信 |
| 濵口陽平さん | 賀久くんの父。家族の日常や取材にも協力 |
| CBCテレビ | 家族を継続取材し、ドキュメンタリーを制作・配信 |
| CBC福嶋カメラマン | シリーズの撮影を担当する関係者 |
| 原誠ディレクター | 初期取材のきっかけや配信の経緯を紹介した記者 |
| 「ピエロの母」 | 書籍の著者名として使用されている名前 |
CBCの取材記事では、母・結衣さんが病気を知ってもらうために発信を続けてきたことや、父・陽平さんも取材に協力していることが紹介されています。
2019年から2026年までの主な出来事
この年表から分かるのは、作品が単発の感動企画ではなく、家族の成長や社会の反応まで記録する継続的な報道プロジェクトへ発展したことです。
【2026年最新情報】濵口家の現在と第143話・第144話の内容
濵口家の現在を知るうえで重要なのが、2026年に公開された一連の配信です。
CBCの公式記事と動画情報からは、賀久くんが9歳になり、学校生活や趣味、家族との時間など、成長に伴う日常が引き続き記録されていることが分かります。
第142話:父子2人で魚鱗癬の会へ
2026年7月8日公開
第142話では、賀久くんが父・陽平さんと2人で魚鱗癬の会に参加する様子が紹介されました。
病気を抱える本人や家族にとって、同じ疾患に向き合う人々と交流する機会は、情報交換や心理的な支えという面でも意味があります。
父と息子の2人旅という日常的な出来事を通じて、家族の関係性や成長も伝わる内容です。
第143話:賀久くんの2026年の夏休み
2026年8月5日19時公開
第143話のタイトルは「『◯◯◯付いちゃってる…』賀久くんの夏休み」。
2026年の夏休みを過ごす賀久くんの様子が取り上げられています。
この回で注目したいのは、病気の治療や症状だけではなく、9歳の子どもとして過ごす夏休みそのものが取材対象になっている点です。
日常生活を継続的に映すことで、病気を持つ子どもにも、遊びや楽しみ、成長の時間があるという当たり前の事実が伝わってきます。
第144話:さらに成長した賀久くん
2026年9月9日19時公開
第144話のタイトルは「驚きの言葉も!大きくなった賀久くん」。
公開日は2026年9月9日で、10月30日時点で確認できるシリーズの最新話です。
第143話を最新話として紹介している情報もありますが、その後に第144話が公開されているため、両者を区別する必要があります。
第144話の動画はCBCドキュメンタリーの公式チャンネルで公開されており、動画情報を追跡する配信記録でも9月9日の公開が確認できます。
濵口家の現在はどうなっている?
2026年の公開情報で確認できるのは、賀久くんが9歳になり、家族とともに日常を送りながら、病気と向き合う姿です。
これまでの配信では、学校生活、父子旅行、ゲーム、リハビリ、皮膚の乾燥などが取り上げられてきました。
また、2023年の配信では、母・結衣さんの仕事と育児・ケアの両立もテーマになっています。皮膚のケアに多くの時間が必要で、働き方にも影響が生じるという現実を伝えた内容でした。
一方、家族の詳しい私生活や、番組で取り上げられていない医療情報まで公開されているわけではありません。現在の家族の様子を知るには、CBCの新しい配信内容を基準にするのが適切です。
【書籍とブログ】「産まれてすぐピエロと呼ばれた息子」はどんな内容?
著者:ピエロの母
出版社:ベストセラーズ
刊行:2019年11月
253ページ・四六判相当
ISBN:978-4-584-13942-4
書籍に込められた母親の思い
この本は、濵口家の母親が「ピエロの母」という著者名で出版した闘病記録です。
国立国会図書館の書誌情報では、2019年11月にベストセラーズから刊行された253ページの書籍として登録されています。
内容の中心は、道化師様魚鱗癬を患う息子の出産から、その後の生活や闘病に至るまでの家族の経験です。
CBCテレビの番組紹介によれば、書名は出生直後の賀久くんの姿に由来しています。
この強いタイトルには、病気を知らない人にも関心を持ってもらい、疾患への理解を広げたいという家族の思いが込められていました。
「ピエロの母」ブログの役割
ブログ「産まれてすぐピエロと呼ばれた息子」は、母・結衣さんによる情報発信の出発点です。
CBCの2022年の報道によると、賀久くんが生後6か月の頃にブログを開設したとされています。
当初は匿名で、病気の状態や日常生活を発信していました。その後、CBCの取材を受け、実名と顔を出して活動する選択をしました。
両親が発信を続けた理由には、賀久くん自身のことだけではなく、今後同じ病気を持って生まれてくる子どもや、その家族にも疾患を知ってほしいという思いがありました。
書籍とブログは、番組とは異なる視点から家族の経験を知ることができる記録です。
【誹謗中傷問題】濵口家が受けてきた批判と2026年の新展開
このシリーズを語るうえで避けて通れないのが、賀久くんと家族に向けられた誹謗中傷です。
病気を広く知ってもらうために顔を出して発信することは、必ずしも良い反応だけを生むわけではありませんでした。
見た目への偏見と心ない言葉
2022年9月のTBS NEWS DIGによるCBC取材記事では、濵口家が周囲から冷ややかな視線や言葉を受けてきたことが報じられています。
さらに、ネット上では賀久くんや両親に対する深刻な中傷も確認されていました。
病気を知らないことから生まれる誤解が、本人や家族を傷つけるという問題です。
CBCの特別版で取り上げられた誹謗中傷
2022年6月8日、CBCは「難病・道化師様魚鱗癬と闘う家族への誹謗中傷を考えます」という特別版を公開しました。
この配信では、病気への理解を広げるために発信する家族と、それに対して寄せられる応援や批判の両面が取り上げられています。
番組は単に中傷を紹介するだけでなく、なぜ病気への理解が必要なのかという社会的な課題にも焦点を当てました。
2026年第140話で取り上げられた新たな展開
2026年の第140話では、誹謗中傷をめぐる新たな展開が紹介されました。
CBCの記事タイトルは「20代男性『この世から消えろ』と書き込んだ人物は」。
番組の紹介文によれば、誹謗中傷で逮捕者が出た後も中傷を続けた人物が特定され、CBCの取材によって本人との面会が実現しました。
相手は20代の男性で、番組では本人の言い分も取り上げられています。
この回が示したのは、SNS上の誹謗中傷が、画面の中だけで完結する問題ではないということです。
匿名での書き込みであっても、他人の尊厳を傷つける行為には現実の責任が伴います。
また、難病の子どもを持つ家庭が、病気の啓発活動と同時に、誹謗中傷への対応まで背負わなければならない状況にも目を向ける必要があります。
発信する家族を守るために必要な視点
この問題について考える際には、次の3点が重要です。
1. 病気の外見と人格を切り離すこと。 見た目の違いを理由に本人を評価したり、排除したりしてはいけません。
2. 医学的な知識を確認すること。 道化師様魚鱗癬は感染症ではありません。
3. 家族の発信を尊重すること。 公開されている映像や情報を、本人や家族を傷つける目的で利用しないことが大切です。
【プロの結論】このドキュメンタリーから読み取るべき本当の価値
「ピエロと呼ばれた息子」の価値は、難病の症状を紹介することだけにとどまりません。
医療、家族、教育、社会の理解、インターネット上の人権問題という複数のテーマが、ひとつの家族の生活を通してつながっています。
特に注目したいのは、長期取材によって、病気を持つ子どもを「支援される存在」としてだけでなく、成長し、遊び、学び、好きなことを楽しむ一人の子どもとして描いている点です。
この作品を視聴するのがおすすめの人
- 道化師様魚鱗癬について医学的な基礎知識を知りたい人
- 希少疾患とともに生活する家族の現実を知りたい人
- 子どもの病気と学校生活、社会参加について考えたい人
- 難病患者や家族への偏見・誹謗中傷に関心がある人
- CBCの長期ドキュメンタリーを通して家族の成長を見守りたい人
一方、医療情報を得ることだけが目的なら、番組だけで判断せず、小児慢性特定疾病情報センターや日本皮膚科学会などの医学情報も併せて確認することが大切です。
番組は個人の生活を追った記録であり、すべての道化師様魚鱗癬患者に共通する症状や治療経過を示すものではありません。
【よくある質問】「ピエロと呼ばれた息子」に関するFAQ
Q1:ピエロと呼ばれた息子はどこのテレビ局の番組ですか?
A1:CBCテレビが制作するドキュメンタリーです。2020年6月に「チャント!」で特集が放送され、2021年4月からYouTubeで定期配信が始まりました。
Q2:2026年の最新話は第143話ですか?
A2:第143話は2026年8月5日公開です。その後、9月9日に第144話が公開されています。2026年10月30日時点で確認できる最新話は第144話です。
Q3:濵口賀久くんは現在何歳ですか?
A3:CBCの2026年配信情報では9歳と紹介されています。
Q4:道化師様魚鱗癬は人にうつりますか?
A4:うつりません。ABCA12遺伝子の変異に関連する先天性の遺伝性疾患です。接触や同じ空間で過ごすことによって感染する病気ではありません。
Q5:道化師様魚鱗癬は治る病気ですか?
A5:現在は皮膚の症状を管理し、感染や脱水などの合併症を防ぐ対症療法が中心です。保湿剤やワセリン、レチノイドなどが治療に用いられます。個々の治療内容は専門医による判断が必要です。
Q6:「産まれてすぐピエロと呼ばれた息子」という本は誰が書いたのですか?
A6:「ピエロの母」という著者名で、2019年11月にベストセラーズから出版されました。濵口家の出産当時からの経験や闘病生活を記録した書籍です。
Q7:濵口結衣さんのブログは何というタイトルですか?
A7:「産まれてすぐピエロと呼ばれた息子」です。CBCの報道でも、病気への理解を広げるために始めた家族の情報発信として紹介されています。
まとめ:濵口家の歩みと「ピエロと呼ばれた息子」が伝え続けるもの
「ピエロと呼ばれた息子」は、道化師様魚鱗癬と向き合う濵口賀久くんと、両親の生活を長期にわたって記録してきたCBCテレビのドキュメンタリーです。
2019年の書籍、母・結衣さんのブログ、2020年のテレビ特集、2021年のYouTube定期配信と、家族の発信は少しずつ広がってきました。
2026年には賀久くんが9歳となり、第143話、第144話と成長を追う配信が続いています。さらに、第140話では誹謗中傷の問題にも踏み込んでいます。
この作品から読み取れる大切なことは、難病を抱えていることと、その人がどのような人生を歩むかは、同じ問題ではないということです。
病気の正しい知識を持つこと、本人の尊厳を守ること、家族の努力を理解すること。そして、病気だけではなく、その人の日常や個性にも目を向けること。
それこそが、「ピエロと呼ばれた息子」という作品が長期取材を通じて伝えてきたメッセージです。
2026年以降も、賀久くんの成長と濵口家の日常を見守るうえでは、CBCテレビの公式配信と、家族自身が発信する記録の両方が重要な情報源となります。 (出典: ピエロ と 呼ば れ た 息子(Yahoo!ニュース))